山口県の伝統的工芸品「赤間硯(あかますずり)」のワークショップを、2月25日~26日、東京港区で開催しました。800年以上もの歴史を誇る赤間硯の制作を、東京タワーにほど近く、大企業の本社や大使館なども多い都心の一角で体験してもらうことが出来ました。
講師・制作指導は、日枝玉峯堂(山口県宇部市)の4代目で、作硯家であり硯研究家でもある日枝陽一氏。赤間硯に対する深い造詣はもとより、気さくで親しみやすい語りによって、参加した人々は楽しく充実したひと時を過ごすことが出来たようです。
-日時:第1回 2023年2月25日(土)9:30-13:00
第2回 2023年2月25日(土)14:30-18:00
第3回 2023年2月26日(日)9:30-13:00
第4回 2023年2月26日(日)14:30-18:00
-会場:駐健保会館(東京都港区芝)
-参加者:4回開催で計24名
硯が出来るまでの工程は数多く10以上にも上ります。通常、一枚の硯を作り上げるのに、職人の手で約1週間かかりますが、ワークショップでは、このうち仕上げ彫り、磨き(砥石とペーパー)、鋒鋩立てを体験しました。
日枝氏によって粗彫りまで施された硯に、参加者一人一人の個性や完成品への思いが籠った手作業が加わわることで、愛着ある見事な硯が作り上げられました。大きなノミに体重をかけながら削るため苦戦しつつも、参加された皆さんは笑顔で楽しく作業に没頭されていたようです。
今回、かな文字や墨絵の先生、書道を学ばれている方、日枝氏の長年のファンや既に硯の見識をお持ちの方、その他いろいろな方にご参加いただきました。日枝氏によって最終仕上げのされた硯が後日お手元に届き、皆さんきっと愛着を持って使用されることだと思います。
<日枝陽一氏>
・日枝玉峯堂(山口県宇部市)の4代目
・作硯家、硯研究家、学術博士、日本工芸会正会員
・「伝統工芸諸工芸展文化庁長官賞」を始め多くの受賞歴を持つ
・著書に「赤間硯の造形 : 造形及びその歴史と素材特性の調査研究」(博士論文)